再受験・多浪生の医学部合格は難しいってホント!?現状と大学選びのポイント

数学コラム

医学部受験はハードルが高いため、一発で合格するのが難しいですよね。かといって、再受験生や多浪生は医学部受験に不利だともいわれています。真相はどうなのでしょうか。

じっさいに、平成30年度私立東京医科大学では性別による不正な点数操作も報じられましたよね。これから医学部を目指す人にとっても不安ですよね。

今回は、再受験生や多浪生の医学部合格率が本当に低いのか、データをもとに検証したいと思います。また、大学によっては現役志望が強いこともあるようですから、受験大学の選び方も重要なポイントです。

再受験・多浪生の医学部合格率ってどのくらい?不利といわれるワケ

受験において年齢や性別などで差別されるなんて公平ではありませんよね。でもじっさいにそういった事例はありました。しかし、それを機に文科省は公平性に関する調査をおこなっています。

年齢や性別によって入学試験で不正な点数操作はある?

平成30年私立東京医科大学では年齢や性別による不正な点数操作がおこなわれました。内部調査によると、二次試験の小論文において全員の点数を0.8倍に減点したうえで、現役から2浪男子は20点、3浪男子は10点を加算。いっぽう、4浪男子と女子には加算しないというものでした。当大学は、過去2年間の受験結果を調査したところ約100名が不正に不合格となったと公表しています。

文部科学省の公正性に関する調査の結果からわかること

不正な点数操作の発覚を機に文部科学省は、平成25年度から30年度におこなわれた全国の医学部入試の実態を調査しました。調査結果から次のことがわかります。

・合格率は男性と女性と大差がない

・現役生と1浪生の合格者数が多く合格率も高い

また、データから再受験生と多浪人生に寛容な大学も読み取ることができます。22歳以上の合格者が合格者総数に占める割合が10%以上の場合がそういえます。文科省のデータには全国医学部のものが記載されていますから、志望大学の寛容度を調べてみるとよいでしょう。

【参考:文部科学省「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査の結果速報について」

大学によって現役・地元志向が強いこともある

大学によっては現役生の合格率がとにかく高いことがあります。大学の附属高校からの内部進学がある場合もありますし、若い力で長く働いてもらいたいと思えばやはり現役生が欲しいということでしょう。また、そのような大学はそもそも再受験生や浪人生の受験者数が少ない傾向があります。

また、医学部の卒業後は大学関連の病院で働くことが多いので、人材の確保のため地元の受験生が欲しいこともあります。

再受験・多浪生が医学部受験に成功するには大学選びが大切

年齢や性別による不正な点数操作はなくなっても、明らかに現役生や地元受験生の合格率が高いということはあるようです。ですから、再受験・多浪生にとってより寛容な大学の医学部を選ぶことが大切です。

年齢別の合格者を公表している

年齢別の合格者数や入学者数を公表している大学は信用できそうですね。また、大学改革支援・学位授与機構から毎年国公立大学・短期大学の年齢別入学者数が掲載されています。

2021年度医学部のみ抽出されたサイトはコチラ。

一歩一歩。再受験のち医大生「最新2021年度版国公立医学部入学者の年齢分布」

また、過去に年齢差別が発覚した大学も、その後改善されているケースが多いようです。

【参考:独立行政法人大学改革支援・学位授与機構「大学基本情報2021」

自分の得意科目の配点が高いか

再受験生や多浪生は、自分の志望大学よりも合格できる大学を選びましょう。とくに難易度が高い医学部受験には多くの時間がかかってしまうからです。そのため、筆記試験では自分の得意科目の配点が高いか、自分の学力の範囲内か見極めることがポイントです。

私立医学部も検討する

受験生のなかには国公立の医学部にしぼっている人が多いようです。でも、国公立は前期と後期の2回しかチャンスがないこと、共通テストに文系科目も含まれることが大きなデメリットになります。私立医学部であれば併願受験ができますし、理科科目に的を絞った対策ができますよ。

また、2021年度からは共通テスト利用ができるようになりました。約半数の私立医学部で導入されています。少ない負担で併願ができること、医学部ごとの出題傾向にあわせて対策する必要がないことがメリットです。

再受験・多浪生の私立医学部入試の傾向やポイントとは?

再受験生や多浪生が私立医学部に挑戦する際に、知っておくべき入試の傾向やポイントをご紹介します。

標準レベルの問題を速く正確に解く

私立医学部の筆記試験では、基本的な問題をミスなく速く解くことが大切です。当たり前のようですが、それができるかできないかで点数に大きな差が出てしまいます。

大学の傾向に合わせた問題や過去問に取り組むことも大切ですが、標準レベルの問題や教科書の公式を用いた応用問題などを繰り返し学習すると効果的です。

小論文の対策をしっかりする

大抵の私立医学部入試には小論文が出題されます。他の学部は理論的に書かれているかが見られるのに対して、医学部では人柄や医師としての素質があるかが重視されるといわれています。

出題されるテーマも大学によってさまざまなので、普段からニュースを見聞きしたり、医療系人文系のテーマにも触れておきましょう。

数学・英語・理科を強化する

私立医学部の入試科目は数学・英語・理科2科目が必須のことが多いです。まずはこの3科目を取りこぼしなく学習しなければいけません。

とくに数学と英語は、個人の学力の差が出やすい科目です。医学部専門の予備校や個別指導などで、自分の苦手を克服しましょう。

まとめ

再受験生や多浪生にとって医学部受験は大きな壁かもしれません。過去には年齢や性別による不正があったことを認めている大学も存在するからです。でも、近年の文科省による調査によると、現役生や1浪生、男性受験者が圧倒的に有利ということはありません。

ただし、再受験生や多浪生に寛容な大学はあります。公表されている年齢別合格者が参考になります。また、併願ができることや数学・英語・理科の3科目に絞った対策ができることから、私立医学部を目指すのもひとつの方法です。